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劇場アニメポッピンQは何が悪かったのか ネタバレあり感想

用事がないと家から出ない自分を引きずり出すために、今年は例年よりよく映画を見た。そんな中2016年も最後である23日、上映が始まったのがポッピンQだ。

劇場アニメ「ポッピンQ」 | 公式サイト
http://www.popin-q.com/

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しかし本当に面白くなかった。まさか外れると思ってなかっただけに、鑑賞後のダメージは大きく、また思うことも多かったのでブログにしたいと思う。

前置きが大変長いので批評だけ読みたい人はスッと下の方へお願いしますすみません。


東映アニメーション60周年記念作品と銘打たれたこの映画は、キャラクター原案を黒星紅白さんが担当し、各登場人物の声優陣も有名どころをガッツリ抑えてある、力の入った作品になっていて、ちょうど2016年、これで見納めるかと意気込んで鑑賞した。


さーて見るかとワクワクしてくるも、なにかがおかしい…客層がおかしい。というかあまりに空きすぎている。 このツイートの後、劇場が消灯されてから入ってきたお客さんを含めると、エキスポシティ大阪109シネマズ10番シアターには、自分を含めてメガネオタク男が2人、小さい娘を連れた母親が1人、小さい息子を連れた母親が1人、合わせて6人である。入場者特典もチケットもぎの机にうず高く積まれたまま、何故か2枚重なったまま渡されてもう面白い。


予約したときはこうツイートしたが、クリスマスが終わった以上、別に26日が特別キツいわけでもない気がするし、だいたいターゲット層である学生は冬休みだ。鑑賞後ポッピンQについてtwitterで検索すると、「ポッピンQ ガラガラ」とサジェストされることが話題になっていて、あーそういう…と納得しかけたのも束の間、その「ポッピンQ ガラガラ」の検索結果すら21件しかヒットしていない。うちポケモンガラガラに言及してるものが2件あるので実質19件しかない。なんだこれ。

その後、鑑賞した直後のツイートがこれ。

一時間四十五分の上映時間が大変長く、スタッフロールで立ったりしない自分が腰を浮かせるレベルの内容だった。オタク映画特有のCパート(間にCMとかないしBパート?名称を知らない)では、魔法少女ルックなまま東京で戦う彼らの姿が!という引きで幕を閉じており、なんと続編が示唆されていて、さすがにビックリした。

そう、続編をやろうというのだ。

ここで内容にも触れようと思う。今更ですがネタバレがあります。
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真ん中の赤いマフラーが小湊伊純(cv.瀬戸麻沙美)。卒業を間近に控えた中学三年生の15歳(この5人に共通する)。卒業と同時に、親の都合で東京の高校へ進学が決まっている。陸上部に所属しており、大会で同級生に負けた際、嘘をついて負け惜しみを言ったことを後悔している。特殊能力は速く走ること。

その右、黒いセーラー服を着ているのが大道あさひ(cv.小澤亜李)。父は柔道、母は合気道、家は道場という家内環境。父には柔道を、母には合気道を選ぶよう迫られているが、あさひ本人は普通に女の子らしくありたいと考えている。特殊能力は物質透過。

さらにその右、黒髪ロングが日岡(cv.井澤詩織)。全国模試で名前が載る勉強家で、付き合いやコミュニケーションが上手くない。メンバーとの顔合わせでは伊純とウマが合わず、言い争いばかりしていた。

左から二番目、メガネが友立小夏(cv.種崎敦美)。楽しんでいたはずのピアノが、いつしかミスしないよう気を配るだけのものになっていると嘆く。特殊能力は音の物質化(ドラえもんコエカタマリンみたいなもの)。

一番左は都久井沙紀(cv.黒沢ともよ)。この5人の中で唯一ダンスの経験者だが、現実世界ではダンスのメンバーとうまくいかず、孤独に苦しんだ。そのせいでメンバーとコミュニケーションをなかなか取ろうとせず、時の欠片(キーアイテム)が揃わない。


彼女ら5人は、思春期らしく悩みを抱えたまま、現実世界で拾った時の欠片を持って、異世界に飛ばされる。そこでは「同位体」と呼ばれるパートナーがそれぞれつくことになる。同位体は一方的にそれぞれ一人ずつの心を読むことができる。
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突然異世界に飛ばされた5人は、その世界がすべての世界の時間を統括することを知る。しかし、オーキド博士長老によると、何者かが時の結晶(?)を破壊してしまい、突然世界に現れたキグルミと呼ばれる敵によって危機的状況にあるという。5人が拾ったカケラが世界を救う鍵。当然世界を救わないと戻れない。そして告げられる…ダンスをするのじゃと。

そこで改めて考えよう。この映画は何が悪かったのか?

1,誰がターゲットなんだよ



先に引用したツイートでも発言したが、とにかく誰に宛てた物語なのか、最初から最後まで全くわからないそもそもモジュール化された売れる要素を、起承転結よろしく型に当て嵌めたシナリオは、子供向けかどうかすら判別できない。

鑑賞前、内容に関しては前情報を抜いたが、キャラクター原案と可愛いキャラデザ、主要キャスト(どころか端々まで)を知った僕は当然、ああオタク向け映画なんだなと考えた。もちろんプリキュアアイカツといった女児向けのアニメのキャストはオタク向けだが、デザインはそうではない。もっと要素を区切ると、下のようになる。

絵→オタク向け
キャスト→オタク向け
キャラ編成→子供向け?
音楽→オタク向け?

キャラやキャストは深夜アニメ風のオタク向きだが、主人公一同が全員女の子で、またマスコットがペアとしてくっつく構成は、日曜朝の女児向けアニメのテンプレートだ。そこに大きな齟齬が発生しており、ただでさえ少ない観客に多様性を与えてしまっている。じゃあ子供が見るべきではないのか?そうでもない…ような…

ガラガラだったことも含めて、この映画は広告を打ち損ねているようにも感じる。他に述べられている方もいらっしゃったが、自分がこの映画を知ったのはこの映画を見るほんの少し前、12月10日に「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」の上映前広告が最初だった。思えばあまりオタク映画にやさしくない109シネマズでも大規模に放映するにも関わらず、事前周知が徹底されていなかった。

2,この歌誰が歌ってんだよ

この映画を褒めようと思うと、まず挙がるのがダンスシーンだろう。プリキュアシリーズによって長い間培われてきた3DCG技術を、アニメーションの手抜きだと評する人はいないだろう。

しかし、ダンスだから音楽がかかる。途中練習シーンではボーカルを省いたインストがかかるシーンもあったが、完璧に踊りこなすシーンではバッチリボーカルが入っている。誰が歌ってんだ?

鑑賞中ありありと浮かぶのはE-girls。いや待てよ、そういや主題歌もあんまオタクっぽくなかったな…

あーこれQuestyってとこなのか、誰だそれ。

映画『ポッピンQ』主題歌アーティストに「Questy」決定! EXILE PROFESSIONAL GYM×avexが初タッグ
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1475479690

なんだこれ。これではなんのためにこんな歌に強い声優を選んだのか全くわからない。

確かにダンスモーションはそれぞれ一人ずつ収録され、迫真のダンスシーンを演出していた。でも歌う必要はどこに… キャラごとにテーマを設定してそれぞれに歌わせない意味がまるでわからない。

これではダンスが彼女らの悩みを解決する手段にはならないし、なんだったら可愛いモデルがヌルヌル動くダンスが好きで、しかもEXILE傘下グループのダンスユニットが好きという稀有すぎるターゲットにしか届かない。意味がまるでないのだ。

せっかくなんだからキャラソン作ったりして小金稼がないと続編なんか無理なのでは…?ここでも誰が相手の商売なのかブレにブレており、せっかくの長所を台無しにしている。


3,心理描写がすごい杜撰(ずさん)


悩みを持ったまま突然異世界に集められ、ダンスをしろと言われ、完遂し帰還したというだけでも無理やりだが、普通その紆余曲折をカタルシスとともに楽しむのが映画だろう。しかしポッピンQではそんなものはほぼない。

主人公である伊純だけが、信じられないご都合主義によって誂えられた障害をクリアし、成し遂げた感を出してしまう。一同はそれに倣って達成感を共有する。制作してるときもうちょい練ろうとは思わなかったのか…と、素人の小説もどきを読んだような恥ずかしさに襲われた。

そう、尺が足りないのだ。間延びしたようなどうでもいいシーンがそこここに挟まるくせに、必要な描写に関してはしっかり省かれている。

初めからダンスでの世界救出に前向きだった大道あさひと友立小夏はまあ問題ない。しかし日岡蒼は違う。明確にやる気と協調性がないキャラなのかと思わせておいて、普通に場に流されてダンスの練習し始めたシーンは唖然とした。キッカケみたいなイベントは特にない。というか都久井沙紀と第一印象被ってんだよな。

しれっと練習しだすし、能力に開花して以降、技名を勇ましく発声してみたり、ノリノリで場の指揮をとったり、なんだよお前めっちゃやる気あるじゃねえかよと恥ずかしくて仕方ない。


4,ラスボス、あまりに荒唐無稽

ポッピンQでは、敵キャラとして存在しているキャラがいくつかある。前述したように不安定になった世界ではキグルミという敵がポッピン族を掃除機で吸い込み、袋に詰め込んで味方を量産している。
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その上方互換としてスモウレスラー風、クジラ?サメ?巨大な魚モチーフ(地面とか壁を這い回る)が存在し、みんな体の一部にある紐を解かれると中身(ポッピン族の素体)がふわっと出ていき、無力化される構造を持つ。

となるとラスボス、きっとその親玉ということは、キグルミの長らしく言語能力も備えていて、主人公一同との掛け合いがあったりするのかな!と期待、もとい予測するだろう。

しかしラスボスは都久井沙紀の未来の姿とされるおばさんである。

孤独をこじらせて誰も信じられないから、時間を巻き戻しまくって永遠に今を生きてやるぜ、とのことだが驚愕のあまりなにも考えられない。どうやってこの時空にいるんだよとか、設定もテーマも何もかも無視している超越っぷりは、ある意味ボスらしいまである。

ボスである沙紀おばさんの攻撃は強力で、時の欠片による加齢攻撃。空間の一部をタイムふろしきのように時間を進めてしまう。伊純は瞬く間におばあちゃんになってしまい…いや、ちょっと待ってほしい

この映画のテーマは現実世界を過去の後悔、悩みとともに生きる15才が、どう節目を乗り越えていくかというもので、過去と現在を強く認識している。にも関わらず、未来に時間を進めるのは間違っているのでは、それ逆だから… しかも結構尺取ってて無駄すぎる。もっというとラスボスおばさん戦ではキャラがちょろちょろ歩き回るのも気になった…。



言いたいことばかり書き散らしたが、以上がポッピンQの感想になる。初見の人は粗を探す訓練をするにはいい映画だと思うので、ぜひ見たほうがいいと思います!(大声)